GRPO
Group Relative Policy Optimization · グループ相対方策最適化
同じ問題に対して複数の答えを生成し、そのグループの中で相対的によい答えを増やす強化学習の方法です。
この技術を一言で説明すると
同じ問題に対して複数の答えを生成し、そのグループの中で相対的によい答えを増やす強化学習の方法です。
なぜこの技術が必要なのか
数学やコードのように採点しやすい課題では、モデルが生成した回答を評価しながら学習できます。GRPOは、その学習時の価値推定の持ち方を見直した手法です。
従来は何が問題だったのか
典型的なPPOでは、方策に加えて価値を予測するcriticを学習します。大規模モデルでは、その重みや学習状態の保持も負担になります。DeepSeekMathはメモリ効率も考慮してGRPOを提案しました。
技術の仕組み
一つの入力から複数の回答を生成し、それぞれの報酬を得ます。代表的なグループ正規化では、回答 i の報酬 r_i からグループ平均を引き、標準偏差で割った値を学習信号にします。
A_i = (r_i − mean(r)) / (std(r) + ε)
これは直感を示す式です。実際の目的関数には新旧方策の確率比、クリッピング、参照方策からの乖離を抑える項などがあります。回答がすべて同じ報酬の場合の扱いも重要です。
具体的な使用例
最終回答を検証できる数学問題で、複数の解答を生成して採点する学習です。ただし答えだけ合っていても推論過程が妥当とは限りません。採点器が誤るケースや、出力形式だけを攻略する回答も検査します。
類似技術との違い
| 観点 | GRPO | DPO |
|---|---|---|
| 入力する学習信号 | 生成した回答群の報酬 | 事前に用意した選好ペア |
| 価値推定 | グループの報酬を基準にする | 標準DPOではcriticを使わない |
| 計算負担 | 複数回答の生成と採点 | ペアの確率計算 |
| 適用条件 | 信頼できる報酬を用意できる | 信頼できる比較データがある |
| 注意点 | 採点器の攻略、生成量 | 比較データの偏り |
| 詳しい三者比較はDPO・GRPO・PPOの比較を参照してください。 |
メリット・デメリット
別のcriticを省く設計が利点ですが、生成コストまで消えるわけではありません。グループサイズ、回答の長さ、報酬のばらつきで効率が変わります。「PPOより常に安く高性能」という読み方はできません。
実装方法
まず採点器を単独で評価し、正解・誤答・形式違反への挙動を固定します。生成と学習の予算を分け、報酬だけでなく未見問題の正答率、出力長、失敗例を記録します。実装負担の中心は、損失式より生成・採点・学習の連携です。
最新動向
DeepSeek-R1論文は、検証可能な数学やコーディングなどの課題で強化学習による推論能力の改善を報告しています。RLVRは検証可能な報酬という設計、GRPOは方策最適化の方法であり、同義語ではありません。
関連技術の地図
矢印はこの技術から見た関係です。上下関係や優劣を意味しません。
関連するAIニュース日報
確認済みの関連日報はまだありません。
参考文献・公式情報
- DeepSeekMath
GRPO、criticを省く設計、グループ報酬の正規化、PPOとの関係。本文4.1節も確認。
- DeepSeek-R1
検証可能な数学・コード等の課題における強化学習と推論能力。性能値の一般化は行わない。
最終確認日
2026-10-12。出典で確認できた範囲を記載しています。「最新動向」は確認資料の更新内容であり、分野全体の網羅や最新順位を保証するものではありません。